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「というわけでイブキさん、もう一度触らせて下さい」
「何が『というわけで』なのかはわかりかねますが、お断りします」
イブキの頬に向かってゆらぁりと伸びてくる雅人の両手。
イブキはその手首をうっ血させるぐらいの力で掴んで押し止める。
「でもイブキさんだって、まんざらでもないって顔してましたよ」
「…………。……そ、そんなこと、ありませんって」
少し口を尖らせて、ぷいと顔を斜め下に向けるイブキ。
「ああもうホンット可愛いなぁ! ふっふっふ、イブキさん、俺の前ではそんな強がらなくても――」
ガチャ。
突如物音がして、二人が一瞬跳ねてからその音源を見ると、部屋の扉の開く音であったと気付く。
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