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凍った時が再起動し、凛はその肉感的な唇を歪めて不気味に笑い出した。背後にはなにやらドス黒いオーラが立ち込めている。
「ふふ、ふふふ…………ぁはハははははは…………」
そしてツインテールを海蛇のようにゆらゆらと漂わせながら、大股でこちらに向かってきた。
「まぁぁぁぁさぁぁぁとぉぉおぉぉっ!!!!」
「ひいぃっ!」
一瞬で真っ青になった雅人の頭の中では、ジョーズのBGMが流れた。
「落ち着け、凛。俺は別にイブキさんに乱暴しようとしたわけじゃ……ぐああああ!? いきなりアイアンクローきたぁっ!?」
「せっかく忠告してやったのに、それでもねーさんを襲うとかお前は本当に馬鹿なのか? その脳みそはつるっつるなのか? あ゛あ゛!?」
雅人は魔女裁判にかけられたジャンヌダルクの気分だった。理不尽。
「ぎゃああああ!? 軋んでる! 頭蓋骨がすごい勢いで軋んでる! 待ってくれ言い残すことあるから!」
「何?」
凛は、睨み続けたら点火できそうなほどの鋭い視線をぶつけてくる。
雅人はベッドの方に目をやるも、頼みのイブキは我関せずとばかりにいつの間にか眼鏡をかけてあさっての方に顔を向けており、こうなったらもう、凛を止める手段はない。
ならば、肉を切らせて骨を断つ!
「最期に。俺にこれだけは言わせてくれ。どうせ死ぬならさ――――」
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