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夕食のお粥を食べて一晩寝れば完治する程度には風邪の症状が回復して、夜。
イブキはなかなか寝付けずにいた。
電気を消して、ベッドの中から天井を眺めて頬に手を当てると、先程の記憶が蘇る。
(うぁ……ほっぺた熱い……)
なんとも自分らしくないことをされた。
しかも頬を摘まれて変なリアクションとったり、ひ弱な態度を見せてしまったりと、まるで自分らしくないこともした。
顔から火が出るかと思うほど恥ずかったけれど、遠慮されないことが嬉しかったのは、本音。
(あんなことされたのは、初めて、です)
心の奥底に踏み込まれることが、こんなにも胸の高鳴ることだとは思わなかった。
クールな仮面を剥ぎ取られるのが、こんなにも甘美なことだとは思わなかった。
まるでかさぶたを引っぺがされるように、痛くて、痛くて、痛いのに。
不思議な開放感。
刹那的快感。
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