紅茶派の陽菜と、コーヒー派の凛と、緑茶派のイブキ。

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「ねーさん、なんだか嬉しそうだな」 「ええ、自分の能力を発揮できることは嬉しいですから」 「ふーん」 しれっと答えるイブキに、凛は生返事をしながらも、目をすっと細めていた。 一呼吸置いて、「習い事といえば」と雅人は凛の方に向き直る。 「凛は何かしてたのか?」 「あたしは前に新体操やってたぜ。フープもリボンもスティックも大体一通りはこなしたかな」 ちなみに先日の華麗なハイキックはその副産物だったりする。 「新体操……! つまりレオタード! ……ごくり……」 「お前は本当にブレないな」 「なぁなぁ凛、また着てくれないか?」 「やだね。…………もう着れるかよ、あんなもん……」 腕を組んでの拒否は、尻窄みだった。 「ははぁ、胸か」 「てめぇにはデリカシーってもんがねぇのか!」 図星だったらしい。 凛は顔を一瞬で紅潮させ、自分の肩をいだくと、腕の中で重力に逆らうようにハリのある双房がむにゅりと形を変えた。
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