紅茶派の陽菜と、コーヒー派の凛と、緑茶派のイブキ。

10/22
前へ
/271ページ
次へ
凛が手を振り払ってぷいとそっぽを向いてしまったところで、さっきからもぞもぞしていた陽菜がおずおずと雅人に問い掛ける。 「あの、お兄ちゃん」 「なんだい?」 「お兄ちゃんは、そのぉ……ムネの大きい女の子の方が好きなのです?」 どこか弱々しい目で見つめてくる陽菜を安心させようと、雅人は愛嬌のある笑顔を向ける。 「そんなことないよ。胸の大きさが魅力にはなっても、その人を好きでいる理由とはまた違うからね」 「答えになっておりませんよ、御主人様」 陽菜の隣から、イブキが鋭い口調で糾弾してくる。 「もちろん、イブキさんぐらいの、手に収まるくらいも大好きですよ」 「お、ねーさんが突っ掛かるなんて珍しいな」 面白そうと判断したのか、凛も会話に戻ってきた。 「あれか。前、優芽先輩に言われたこと、ねーさんはまだ気にしてんのか?」 「……違います」 一瞬、間を空けてから眼鏡のブリッジをいじりつつ否定するイブキ。
/271ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2318人が本棚に入れています
本棚に追加