紅茶派の陽菜と、コーヒー派の凛と、緑茶派のイブキ。

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「なんかあったのか?」 雅人の悪意のない問いに、凛が答える。 「優芽先輩から『イッチャンはお姉さんメイドなのに、どうして黒髪ロングの巨乳じゃないの?』って冗談で聞かれて、ねーさん素で凹んたことがあったな」 「あ、あははー……」 「優芽さん、なんてことを……」 陽菜は乾いた笑いをして、雅人は嘆くしかない。 当のイブキは口元に薄い笑みを作りながら眼鏡のツルをいじる。眼鏡の銀縁が覆う瞳はブラックホールを思わせる漆黒。 「体型なんていうはどうしようもないですし、髪型は個人の勝手でしょう。このぐらいの短さが楽なんですよそもそも『キャラ』という概念を現実の人間に当て嵌めようとするのが間違っているのです人間は『キャラ』とかで括れるようなそんな単純なものではないのです」 「イ、イブキさん、落ち着いて下さい」 どうやら地雷を踏んだらしい。 怨念じみた言葉をモールス信号のように抑揚をつけずに言われると余計に怖い。
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