紅茶派の陽菜と、コーヒー派の凛と、緑茶派のイブキ。

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「去年以来、凛は男の人が信じられなくなっているのだと思います」と、イブキは急須を空中で少し揺らしてから、空の湯呑みにお茶を注いで話し始める。 「御主人様と同学年の、高天原敏樹(タカマガハラトシキ)をご存知ですか?」 「ああ、たしか今は一年一組……だったかな。レアメタル取り扱ってるとこの御曹司で、かなりモテてるって聞いてます」 「ええ、凛はその彼と去年の冬ごろに一悶着ありまして。なんでもしつこく付き纏われるのに嫌気がさして大暴れしたとか。騒動自体は御祖父様が処理して下さいましたが、詳しくは凛が教えてくれませんでした」 「そうなんですか。……やー、今の俺も似たようなもんですね」 頭をかきながらあははと笑う雅人に、今まで小さくなっていた陽菜が反論する。 「ち、違うです!」 急に陽菜が声を張ったことに、雅人とイブキは驚きの表情。
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