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「あ、いえ……陽菜も、高天原って人はよくわかりませんが、お兄ちゃんは陽菜たちのことを大切に思ってくれてますし、それに……」
もどかしげに言葉を探す陽菜を、イブキが引き継ぐ。
「凛が互いに無遠慮に話ができる男性は御主人様ぐらいですよ。御主人様と話す凛は、とても生き生きしています」
「あ、楽しそうに見えてます? それは良かった」
心から喜ぶ雅人を闇色の瞳でじっと見るイブキ。
「ですから凛からしてみれば、実は自分をちゃんと見てくれていなかったと、御主人様に裏切られた気持ちになったのではないでしょうか」
イブキは残されたコーヒーカップに目を移して、そう考えを述べた。
「……楽しそうだからこそ、私は嫉妬してしまうんですけどね」という呟きは雅人には聞こえない。
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