紅茶派の陽菜と、コーヒー派の凛と、緑茶派のイブキ。

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「そう、ですよね……」 雅人としても、そういう反応を覚悟はしていた。 実際になったらなったで、自分自身も辛いが、それ以上に凛を傷付けたことが何よりも辛い。 (凛……。俺は……) 自分のしたことと、これからすべきことに考えを巡らせていたところで、不安そうな雅人に気を遣ったのか、陽菜が話しかけてくれた。 「お兄ちゃん」 「? なに?」 「あの、その……お姉ちゃんなら、大丈夫だと思います」 「そう思う?」 「はい。多分、凛お姉ちゃんもわかってるです。お兄ちゃんの気持ちは、本当だって」 「陽菜ちゃん……」 瞳に涙を浮かべた陽菜が無理に強がって勇気づけようとしてくれたのが、とても心強く思えた。 「……うん、よし!」 気合い一発。雅人はパチンと頬を叩いてから、真剣な面持ちに切り替える。自分で蒔いた種なのだから、自分でなんとかする。そんな決意を胸に秘めて。 「んじゃ、ちょっくら行ってきます」 心は重く、言葉は軽く。 まるで八百屋にお使いに行くようなノリで席を立つ。 「御武運を。腕の一本や二本は覚悟しておいても無駄にはならないかと」 イブキは眼鏡のツルに触れて一本調子で言葉を送る。 「お兄ちゃん、行ってらっしゃい」 そして陽菜は、ガッツポーズのように両拳を胸の前に掲げた。 雅人は手を振って返事をし、一歩一歩踏み締めるようにして凛の部屋へと進んだ。
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