ギブ・ミー・カフェイン

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雅人の苦悶する姿を見て、凛は砂場の城を壊すような、アリの巣を埋めるような、そんな子供じみた嗜虐感に心が満たされていた。 ――――なんだよ、大口叩いといて、雅人もこの程度かよ。 凛は、怒りながら、笑いながら、くの字で横たわる雅人の近くに軸足を踏み込んで、右足を振る。 「男なんて、大っっきら――――」 しかし、蹴りは腹に届かず、雅人の両手でガッチリと捕まれた。 「っ!?」 「ぜぇ……はぁ……凛、どうした? 手加減してんのか? いや、蹴ってっから『足加減』か?」 雅人はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。 「なっ……この……離れろ!」 凛が勢いよく蹴り上げると、その力を利用して雅人は立ち上がった。 「っとぉ! ……あぁ、普段からボコられ慣れてっから、こんなん全っ然ヨユーだぜぇぇぇえっ!」 満身創痍で、脂汗をかいて、息を切らしながらも、両足を踏み締めて立ち続ける。
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