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顔は青ざめてフラフラのはずなのに、雅人の目は不滅の意志と、全てを受け入れる広大な海のような優しさにあふれていた。
一方、凛の目には、理解できないとばかりに動揺が現れていた。
「なんだよ………何なんだよ! てめぇのその目は!」
――――今まで、男からそんな目で見て貰えたことなんてなかったのに。
「凛」
呼ばれた凛は頬を強張らせ、吊り上がった大きな目で睨む。
「うるせぇ! 気安くあたしの名前を呼ぶな! もう出てけ! 出てけよ……!」
拒絶の意志で腕を振ると、その腕を掴まれた。
「あ……こら! は、放せ!」
「嫌だ!」
「っ!?」
いつもと違う剣幕に、思わず圧倒される凛。
真ん前に立つ雅人の大きく見開かれた目の中央には、黒鉄色の瞳。
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