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「男を嫌うなら嫌え。俺を殴りたきゃ殴れ。罵倒したけりゃ罵倒しろ。凛の気が済むならそれでもいい。だけど! 俺は凛を嫌いにはならないし、この手はぜってぇ放さねぇ!」
血が止まりそうなくらい、凛の手を握る。
「ここで凛の手を放したら、俺は、この先ずっと後悔することになる」
「…………」
凛は羞恥心、戸惑い、疑問、様々な感情が入り乱れた表情。
目を逸らしたかったのに、なぜか不可避の重力に引っ張られるようで雅人から目を離せなかった。
目線を逸らさず、握った手を放さず、肩で息をしながら雅人は続ける。
「凛、とりあえず言っておく」
自分のペースを崩された凛の心に、雅人の真剣な目が、力の篭った声が入り込んだ。
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