夜更かしは自己責任で

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「ほら雅人。ぼーっとしてないで、なんか言うことないのかよ?」 とても人に物を尋ねる態度と口調ではないが、雅人は半開きの眼のためいつもより3割増し気の抜けた笑顔で返した。 「あ、ああ。おはよう。起こしに来てくれたんだな。ありがとう」 凛は一瞬頬を緩めてから、不自然に咳ばらいをひとつ。そして腕を組んで、何か覚悟を決めたような目を向けてきた。 「はいはい自意識過剰。昨日、雅人を遅くまで付き合わせたから、雅人のために朝早く起きるなんてしたくもないんだけど、しょうがなくあたしが責任を持って起こしにきたってだけ」 どこか迫力の欠けた硬い表情で、まるで台本にして用意していたような言葉。 「それに、昨日顔と体以外取り柄がないとか言われたままなのも癪だし。だから別に雅人の役に立ちたいとかそんなんじゃないから変な勘違いすんなよバカ」
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