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そこまで一気に言い終えるやいなや、つんと顔を窓の方に向ける。
「『取り柄がない』って……それは凛全部を言ったわけじゃないぞ」
「だとしても、だ。これであたしが朝からでもちゃんとメイドができることがわかっただろ?」
「ああ。凛の心意気はわかった。あとは朝の御奉仕」「永遠の二度寝させるぞ?」「ごめんなさい調子乗りましたごめんなさいお願いだからアイアンクローはやめて下さいいいいいっ!」
雅人が頭蓋骨の軋む音に生命の危機を感じたところで、目覚まし時計がけたたましく鳴り、午前7時を告げる。
凛がパッと手を離し、鈍く痛むこめかみを抑える雅人を見て不満げな顔で呻いた。
「……ちっ……部屋で躊躇ってないでもっと早く来ればよかった」
「そうか……凛、お前……」
「あ! ち、違! せっかく来たのに結局いつも通りになっちまったとかそんなんじゃなくて……」
「そんなに俺を時間をかけて苦しめてトドメを刺したいと!?」
「なんでこういうときだけ都合悪く解釈するかなぁ!」
「うぇえ!? なぜ怒られる!?」
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