夜更かしは自己責任で

6/14
前へ
/271ページ
次へ
雅人が理解不能な恐怖に怯えていると、不意に部屋の扉がもげそうな勢いで開かれた。 「御主人様! どうかなさいましたか!?」 そこには少し呼吸を乱して、雅人の悲鳴を聞いて全力疾走してきたと思しきイブキ。 イブキは凛の姿を見ると、驚き半分、予想通り半分といった表情をしたあと、眼鏡の奥の切れ長の目をスッと細めた。 「……ああ、凛。お早う御座います。部屋にいないと思ったらやはりここにいたのですね」 「ん、おはよ。ねーさん。そんな息切らしてどうしたよ」 「凛こそ、御主人様を起こすのは私の仕事ですよ?」 にこりと口元だけが不自然に笑っていた。 しかし凛は不遜な態度を崩さない。 「ほら、前ねーさん無理して風邪引いたろ? だから負担を減らすために朝起こすくらいはやろうかと」
/271ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2318人が本棚に入れています
本棚に追加