2318人が本棚に入れています
本棚に追加
「きゃっ！ お兄ちゃん下から見ちゃダメ！」
夕食で使った圧力鍋を棚に戻そうとした手を止め、足場である椅子から降りた陽菜は、首まで真っ赤にしながらスカートの裾を強く引っ張って縮こまる。
その際、律儀に鍋をテーブルに置くのが陽菜らしい。
「ゴメンゴメン、陽菜ちゃんが椅子に登って棚の上に物を置こうとしたのが見えて、つい目が吸い寄せられてちゃったよ」
「もう、お兄ちゃんのばか！ えっち！」
雅人が清涼飲料水のCMに使えそうなくらい爽やかな笑顔で返すので、陽菜は「ばかばかばかっ！」と子供のようにぽかぽかと叩いてくる。
「あははは、ゴメンね。陽菜ちゃん」
そう言って髪をくしゃ、と撫でる。
すると陽菜も叩くのをやめて「むーっ」口を尖らせる。
「か、可愛い……！ 拗ねる陽菜ちゃんも可愛い！」
最初のコメントを投稿しよう！