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「……陽菜は、たまにお兄ちゃんが羨ましくなるです」
「羨ましい?」
「はい。お兄ちゃんは、したいことをして、言いたいことを言って……それでいてきちんとスジを通しているのですから、すごいと思います。陽菜は、言いたいことがあっても上手く言えないこともあるですし……」
そう言って視線を落とす陽菜。
雅人はあやすようにぽんぽんと頭に軽く触れてから、前髪をそっと手櫛ですく。
「陽菜ちゃんは、陽菜ちゃんのままでいいんだよ」
「でも……」
何か言いたげに小さな唇をわずかに開く陽菜に、雅人はニコニコと笑顔を向ける。
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