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普段から露出度の低い服を着込み、肌を見せることが好きではないイブキ。
それは自分の心を見せるのが好きではないことの表れであり、人と距離を置こうとすることの表れでもある。
故に、その壁――ぱっと見頑丈そうだが実は脆い壁――を突破され距離を詰められると、途端に本来の弱さが浮き出る。
繊細な心を薄い膜で覆い隠したままの少女。それがイブキの本質だった。
「……」
顔の熱さを自覚する。
今まで誰かに頭を撫でられたことなんてない上にかつて握ったことのある手で忘れられない手で撫でられているのだから心臓はバクバクいいながらもどこか張り詰めていた神経がほどけてまるで甘えているような心地好さが――――
「ねーさん目を覚ませ! それから雅人も何調子乗ったことしてんだよ!?」
「イブキお姉ちゃんズルイですぅ!」
「はっ!? 私は何を!?」
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