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凛はサッと雅人の背後に回り込み、こめかみを左右から拳でぐりぐりと圧迫する。いわゆるウメボシ(グリグリ攻撃とも言う)。
「あがががぐおおおぉお! そういう暴力的な触れ合いはいらん! 脳内でゴリゴリ音が響いてる! いや、イブキさんとは同意の上であってだなぁ……」
「勝手言うな! ほら、ねーさんも否定してやれよ!」
凛は口から泡を飛ばしながら、雅人は激痛のあまり半笑いで、イブキを見る。
「あ……いえ……その……」
当のイブキは体ごと視線を左右に揺らしてソワソワして言葉を濁した。
「ほら、満更でもない感じっしょ?」
「ねーさぁぁん!? んなバカなぁああああ!」
「ちょ、力強くなってるし! しかし痛くない! なぜなら背中に大きくて柔らかなマシュマロが当たっているから俺は無敵っ!」
「よし、じゃあ出力上げておっけーだな」
「あああでもそれ以上は骨の耐久性が無理っ!」
そんないつものやり取りを、イブキは顔を赤らめて視線を外し、陽菜は眉を下げて複雑そうな表情で眺めていた。
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