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「むぅ……」
凛は口をへの字にして腕を組む。
「雅人が三股してもいいってのかよ?」
「誰でもってわけじゃないですよ。お兄ちゃんと、陽菜たちだから、そう思うです」
「そっか……。……ねーさんは、どう思う?」
陽菜から目線を逸らすような凛の質問に、イブキはついにこの時が来たかと身構えた。
しかし、陽菜が雅人を好きな理由を聞いたからだろうか、不思議と迷いは消えていた。
(私は……)
それでも、言葉が喉につっかえる。
手の汗が尋常じゃない。
舌の粘膜が渇く。
唇が震える。
そんなときだからか、雅人のお気楽な笑顔が頭に浮かんだ。
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