友達は大切にしましょう

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朝の学校。 窓際の前からニ番目の席。 早めに教室に着いて読書をしていたイブキは、廊下をドタドタと走る音と『おはよー!』とやたら元気な声が教室に近づいてくるのを聞いて、読んでいた文庫本を閉じた。 そして鞄から一時間目の国語の宿題であったプリントを取り出して、机に置く。 案の定、その音の発信源は教室に駆け込み、ピンク髪のポニーテールをぴょこぴょこさせながらイブキに近寄ってきた。 「おはよーイッチャン! ね、ね、今日の漢文の宿題見せて!」 「お早う、優芽。また徹夜したのですか?」 イブキのことを『イッチャン』と呼ぶこの元気少女は、阿佐ヶ谷優芽(アサガヤ ユメ)。席はイブキの後ろ。窓際三番目。 一年生のときから友人である優芽は、同性のイブキから見ても魅力的な女の子だった。 小さい背丈と、どこか幼さの残る顔立ち。 常に活発で、動くたびにぴょこぴょこ跳ねるポニーテール。 銀河でも飲み込めそうな、並外れて大きく輝く瞳と長い睫毛。 親しみやすい可愛らしさと人懐っこい性格のおかげでクラスの人気者――というよりマスコット的存在である。
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