2318人が本棚に入れています
本棚に追加
/271ページ
「そーんなこと言ってると、リンリンやハルにゃんにマー君をとられちゃうよ?」
「それはありませんよ」
「あー、マー君なら三人ともお嫁さんにするってこと?」
特殊な地位の人間が集まるこの学園は世間の常識からはやや外れており、学生結婚、重婚、愛人、政略結婚などよくあることであった。
「そうではありません」
「じゃあ、なんで?」
優芽の疑問はもっともだろう、とイブキは思う。
今時、2ヶ月も断り続けてもアプローチを続ける男性なんてそうそういないだろう。
しかも凛はなんだかんだ言いながらも雅人を嫌っているわけではなさそうだし、陽菜が雅人を慕っているのは見ればわかる。
それでも、雅人も含め今以上の関係に踏み込まないのは。
今の、家族以上恋人未満のような関係が、心地好いから。
関係を変えるのは、面倒。
関係を変えるのは、怖い。
今まで築いてきたものが、全て台なしになる可能性を持っている。
だから。
「四人ともわかっているからですよ。現状維持が一番いいって」
最初のコメントを投稿しよう!