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「いえ、私が気付かないばかりに、お手数かけました。申し訳ございません」
「ん~、そうだな、代わりにイブキさんが背中流してくれるっていうのはどう?」
「……」
無言で目を伏せるイブキ。
何か言いたいのに、言葉が喉につっかえて出てこない。
無意識に手に力が入る。
(あああ何で黙るの。私に非があるけど、御主人様がいつも言いそうなことなのだから今回も普通に断ればいいのに。どうしよう、何か、言ったほうがいいのでしょうか)
イブキの目が泳ぐ様子に、雅人は何かを感じとったのか、あっさりと手を引いた。
「ははっ、また次回にしましょうか、イブキさん」
「あ……。そう、ですか」
「どうしたの?」
「いえ、何でもありません」
「んじゃ、風呂入ってくるね」
「はい。行ってらっしゃいませ」
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