プライベートは大切にしましょう

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雅人が部屋から部屋から出ていったのを確認し、深いため息。 (またやってしまいました……) 普段から口数の少ないイブキは、急に話を振られたりすると、考えすぎて動けなくなることがしばしばある。 それは、さっきのように身内に対してすらも起こりうる。 いくらか深い仲の人間はイブキの思慮深い人となりを理解しているが、そうでない人間――例えばクラスメイトとか――の目にはただ「大人しい」「真面目」としか映らない。 しかし、一度貼られたレッテルを覆すのは多大な労力と気力がいる。 だから、「何もしない」という選択肢をとった。 そして、「傷つかない」と言う対価を得た。 「傷つかない」心地好さを知ってしまったイブキは、「何もしない」ことに慣れてしまった。
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