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事態を理解していない妹に、凛はがっくりと肩を落とす。
そんな凛を尻目に、雅人は陽菜の頭に手を伸ばした。
「ホント、陽菜ちゃんはずっと無垢なままでいてくれよ。ナデナデ」
「え!? あ、ありがとうございます……」
雅人に頭を撫でられて頬を染めるのは、都城家三女の陽菜。小さいながらもふっくらとした唇をモゴモゴと動かしている。
撫でられている赤茶のセミロングはくせっ毛のため所々ウェーブしており、前髪の一部が重力に逆らってピョコンと触角のようになっている。いわゆるアホ毛。
現在中学三年生であるが、小学生にも見える小柄な体とあどけない顔立ちに加え、ゴスロリ調のメイド服が幼さを際立てていた。
また、小動物的なクリクリとした瞳と、処女雪のようにきめ細やかな白い肌は見る者の庇護欲をどうしようもなくかきたてる。
「どっかの暴力メイドとは大違いだよ」
「やかましい」
凛が半眼でツッコミを入れる。
「まったく、メイドが主を殴るなんて、本来なら『オシオキ』の一つでもするところだが、今回はパンチのときにそのFカップが揺れるのを見れたから許してやろう。凛、寛大な俺に感謝しろよ」
「よーしわかった。もう一発殴ってお前の記憶を消すから、そこに直れ」
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