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「だってさ、凛。そろそろ離してくれ」
雅人はパシパシと凛の手をタップする。
「ねーさんはなんとも思わないのかよ!?」
「いえ、特には」
面倒ですから。好意や悪意を持つことも、それを表現することも。
「あたしはこの悪の根源を抹殺しなきゃだめなんだ!」
「そうかそうか、そんなに俺と離れたくないのか」
「そうかそうか、そんなに息の根を止めて欲しいのか」
凛は親指の付け根を喉に押し込み、本格的に死刑執行開始。
「文字通り、御自分の首を締めることになりましたね」
「イブキさん……! 上手いこと言ってないで……くださ……」
「自業自得です」
そうこうしているうちに授業開始のチャイムが鳴り、酔っ払い達を二次会の居酒屋まで誘導する幹事のような心境で、イブキは小さく息を吐いた。
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