「いただきます」は忘れずに

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卵焼きを口に入れて咀嚼すると、優芽はタコみたいなクネクネした動きをしながら、幸せそうに蕩けた表情をする。案外不気味。 「ん~、この甘さとトロトロ具合がたまんないよね。あ、お箸ありがとう」 箸を返還し、自分の弁当を出す。 どうも、とイブキは返してもらった箸で、チキンライスをつつく。 どこまでもクールなイブキに対して優芽は「それにしてもさ」と机をパシパシと叩く。 「ホント、イッチャンはいいお嫁さんになるよ。てか、ウチに来て! あーしのお嫁さんになって!」 「丁重にお断りします」 優芽は「む~」とほっぺたを膨らまして不満アピール。 「はぁ~あ、イッチャンはマー君のものかぁ」 ころころと表情を変える優芽を見てイブキは苦笑する。 「……御主人様は私のものってわけではないんですけどね」 「うん?」 「なんでもありませんよ」 口が滑った。きっとエビフライの油のせいだ。
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