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凛が拳を構えて殴り掛かろうとしたとき、コンコン、とノックの音。
雅人が返事をすると、もう一人のメイドが部屋に入ってくる。
「失礼いたします。御主人様、御食事の準備が整いました」
洗練された動作で扉を開けたのは、都城家長女のイブキ。年は雅人よりひとつ上。
まず印象的なのは端正な顎のあたりで切り揃えられた、漆塗りの陶器のように艶がある黒のショートヘア。
そして静脈が見えそうなほどに透き通るような白い肌。
それらの魅力的な黒と白のコントラストに加え、つくりもののように顔立ちの整った美少女である。
上品な高さを誇る鼻筋と細いフレームの銀縁眼鏡は切れ長の目をさらに鋭敏に見せ、有能秘書のような隙のなさを醸し出しており、モデルのように長い手足やロングスカートの正統派メイド服の落ち着いた雰囲気も合わせて美少女というより美人といったほうがしっくりくるかもしれない。
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