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「イッチャンどしたの? 噛み噛みだよ?」
「おお!? イブキさんがついにデレた!?」
馬鹿騒ぎする馬鹿二人に対し、イブキは眼鏡を指の上で忙しなく動かしながら反論する。
「馬鹿なことを言わないで下さい。どうして何の前ぶれもなく急にデレるんですか」
「む、確かに。前フリも何もなかったな」
雅人は顎に手を当てる。
「そもそも、私のイメチェンがどうこうという話ではなかったのですか?」
「ああ、そうでしたね。そうだ優芽さん、さっき眼鏡をコンタクトにしたらって話しましたよね?」
(えええ!!!? それで納得しちゃうんですか!? その、もっと追求されたら、ごまかしきれなかったかもですのに……って何考えてるの私!!!?)
雅人はすでに優芽に話しかけており、イブキが心中で悶絶したり、その顔が青くなったり赤くなったりしているのに気づかない。
肝心なところで鈍感で、大切なところで踏み込まない。
やはりモテるにはどこか一歩及ばない雅人であった。
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