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鉛のように重い体に鞭打ち、メイド服に着替えてキッチンに向かう。
その身を奮い立たせるのは、メイドとしての矜持と義務感。そしてもうひとつ大事な要素があるが、イブキは気づかない。
――――――
(朝食と、お弁当は……出来ました……。御主人様を起こしたら、登校まで少し休みましょう)
ぼんやりした頭では食事の準備も上手いように進まず、時間が押してしまったため陽菜、凛の部屋へ簡単に声をかけてから雅人の部屋へ向かう。
ケータイを見ると現在7時3分。3分遅刻。
フン、と不機嫌そうに鼻息ひとつ。
いつものようにノックしてから部屋に入り、雨戸を開けてから挨拶。
「お早う御座います・・・・・・。御主人様」
ただでさえ低い声が、喉が炎症を起こしてしゃがれ声になってしまった。
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