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家に残ろうかという雅人の提案は当然却下され、三人で登校する。
校門――とはいえ無駄に敷地面積を誇るこの学校では門から校舎までは徒歩3分の距離――で、生き物のようにポニーテールを揺らす優芽に出会えた。
自作の染毛剤で染めたピンク頭は遠くからでも目立つ。
「優芽さん、おはようございます」
「ちーっす、先輩」
「おはようです、優芽さん」
「やあやあ皆おはよーさん。あれっ? イッチャンは?」
「イブキさんは風邪でお休みです」
「なるほどなるほど。マー君がイッチャンに、恋の病を患わせたわけですな?」
「はっはっは―。優芽さん、それはもっと前からですよ?」
「……アンタら二人は一生風邪引かなそうだよな」
アメリカのコメディドラマのようなハイテンションな会話に、凛がツインテールを左右に振りながら、そうボソッと呟いた。
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