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――――――
西園寺家・イブキの部屋。
イブキは泥のように眠っていたが、3時過ぎになるとさすがに自然と目が覚める。
「あー……」
イブキは夢を見ていた。
嫌な夢。
中学時代の夢。
イブキは壁を見渡す。
本家にある自分の部屋と違って、何もない白い壁。
小学生のときの、習字や歌唱コンクールで貰った賞状も水泳の大会で表彰台に上がった写真もない。
すべて、家に置いてきた。
以後、体は重いけれど寝付けないような『寝飽きた』とでも表現するような状態で、うつらうつらと半眠りを繰り返していた。
雅人が帰宅したのはその少し後である。
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