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なんだか気恥ずかしい雰囲気になり、これからどうしようかと考えていたら、雅人はずっと両手でイブキの右手を握り締めていたことに気付く。
「あ、すいません。手、勝手に握っちゃって」
その手を優しく離そうとする。
しかし、
「痛ッ!?」
イブキが手の甲に爪を立てて離さなかった。
「ちょ、イブキさん?」
「……御主人様は、よくわかりません」
イブキが独り言のように唇を動かす。
「な、何が……? 自分で言うのも変だけど、俺はけっこー単純な人間だと思いますよ?」
訳がわからない、といった表情をする雅人に、イブキは先程とは打って変わって弾劾するような視線を投げかけた。
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