44人が本棚に入れています
本棚に追加
また見透かされそうで、恐る恐る視線を上げれば少し苦笑気味の顔。
「他にあげたい奴いるならいいんだけどさ…」
もう教室に戻っていい、と言って彼は再び作業を始めた。
ー予鈴が鳴るまであと少し
『…ねぇ、放課後ってココにいる?』
「居る…多分…」
背を向けて尋ねればただ声だけが返ってくる。
カバンは教室に置いたまま
今からじゃ戻って来れないからー
『放課後ココに居るなら、岡山にあげるよ。ーーおいしいかどうかは知らないけどっ!!』
そのまま行こうとした瞬間、彼が手を掴んだ。
「沙耶が恭香の料理美味しいって言ってたし、ぜってぇウマいに決まってる…
待ってるから約束な?」
その笑顔にあの時とは違う痛みがはしって、何故かあたしは泣きたくなった。
最初のコメントを投稿しよう!