自覚

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ーー体育祭まであと2週間 「先生ェ~、買い出し行きたいんだぁ~」 衣装係のー岡山が好きなー女子が、のんびり座っていた彼に話しかける。 ウチの学校は行事への力の入れ方がハンパなくて、これから当日まで授業はナシになる。 どれだけ行事好きなんだって呆れたくなるけど、授業よりコッチの方が何倍も楽しいからいっか。 「ー…あ~OK、車出せってコトな?」 大きく伸びをすると、傍で作業していた私を見てニッコリと微笑んだ。 *** 行く前に確認したいコトがあるらしく、何故か私も玄関に呼ばれた。 「何で桐生がいるの?」と女子の無遠慮な視線がチクチクささる。 早く来てよ岡山ッ‼ なんて念じてたら、静かなエンジン音を響かせた一台の車が目の前に滑り込んできた。 「荷物の分もスペース要るから、連れてくのは衣装から2人」 降りてきた彼はそう言って車に背を預ける。 車の形的に6人乗りなのにどうして…? 疑問に思っていると助手席のドアが開かれた。 「恭香はコッチな?お前居ねぇーと使いすぎそうな気ィするし」 ヘラッと笑いかけられ、思わず溜め息をついてしまう。 教室には沙耶もいるし大丈夫でしょ。 『仕方ないから行ってあげるよ』
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