第1章~なにがミラクルか分からないミラクルバー~

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「とりあえず中に入りましょう 今はお店、まぁ居酒屋みたいな、バーみたいなもんなんだけど 開店は6時からだから、今は準備中よ」 「ええ、何があったかこの目で、耳で、聴いて確かめます」 カランカラーン という乾いた鈴の音を聴いて、扉を開いて中に入る昴。 「おかえりなさいませ店長ぉおおお!」 昴が入った瞬間、とても大きな声が聞こえました。 「あら、ミクちゃん。 今日も元気一杯ね。」 ミクと呼ばれた少女。 金髪の髪を後ろで束ね、頭には三角巾を被っています。 可愛らしい顔に、服装はシャツとジーンズ。 エプロンを着てテーブルを拭いています。 外では気付きませんでしたが、リフォームして部屋を拡大させたみたいですね。 とても広々とした空間が広がっています。 「店長ぉ! 後ろにいる男性は誰ですかぁあ!? また男捕まえてきたんですかぁああ!?」 なんかこの子テンション高過ぎ… 「ぁあ、この人は私の友人よ。」 「そうですかぁあ!! ミク・ファーリックと申します! よろしくお願い、しまぁああすぅ!!!!」 「ぁあ…相模仁と申します。 よろしくお願いしますね」 「はいっ!!」 最敬礼から頭を上げたミク。 なんか軍人みたいな表情してるけど無視しよう。 きっとこれが彼女の性格なんだしさ にしても、居酒屋にしてはきらびやかだなぁ… 蛍光灯は酒を飲むバー以外、ブルーネオンかレッドネオンっぽいし… なんか円卓を囲むようなソファーもあるし… キャバクラみたいな場所ですね。 そう思ってソファーを手で触る私に、昴が言いました。 「ここね、居酒屋はもちろんなんだけど ゲイバーでもあるのよ?」 「げい ばー?」 「そう、半分居酒屋、半分ゲイバーみたいなね スゴいでしょ?」 げい ばー ゲイバー GAYBAA ? 死にたくなってきたかも だって、実家に来て見れば家はゲイバーになってるし 昴は完全にゲイになってるし 鬱だ死のう 「あら、仁じゃない。 帰って来るなら連絡すれば良かったのに」 ふと、私の名前を言った方向へ体を向ける。
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