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「ぇえ?オレは帰ったとして、師匠はどうするんですか?」
仁は師匠と呼ぶ、自分の向かい側に座る女性に聞いた。
「あたしかい?あたしゃ、もう少しぶらぶらするけどねぃ?
あ、あたしに口答えしたら裸にして縛って道路に置いとくよ?」
「いーえいえ口答えだなんてそーんなことするわきゃないでしょー
神無月師匠には逆らいませんってば」
ここで口答えしたら…
絶対にSM縛りで見世物にされてしまう…
なんと言っても師匠は有言実行だからな…
冷や汗を書きながらそんなことを思った相良、それに対し神無月はケラケラと笑っていた。
酒が回っているのか、顔は若干赤みを帯びる。
「んじゃ、決まりだね。
今から帰りなぁ~
あたしゃまだ飲んでくからよ」
「まだ夕方の6時ですよ…
師匠、また会えますよね?」
「あたしが恋しいの?
また会えるんでないの、お互い生きてりゃあね。
まぁ精々頑張ってな
あと、スワジ国の面々によろしく頼んだよ、仁」
はい、と仁は笑って答えたが、その瞳はどこか寂しそうであった
「さようなら、また今度」
そう告げて店を後にした仁
神無月はその後ろ姿を微笑みながら見ていた。
(あんなクソガキだった子が、立派になっちまったもんだよまったく…)
その顔はまるで、旅立つ我が子を見送る母親そのものだった
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