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「まず、貴女はなぜ指輪から刀を出したんですか?
自分の武器を持っていない訳ではあるまい」
「くっ、答える訳ないでしょ優男」
そう言って左手で仁を殴ろうとしても、仁にまた捕まれ、捻られる。
「おやおや、質問に答えないと腕が千切れるかもしれないですよ?」
「うぅ…その刀は…
私の大切な、モノよ」
「そうですか。
はっきり言います。
なぜこの依頼を引き受けた?
貴女の実力じゃあ死ぬ。
Aランクだからって、空の神とも呼ばれたバハムート舐めんなよ」
無表情。
凍てつくような無表情
凍てつくような言葉
凍てつくような視線
今の仁は、優しい顔ではなく、冷たい無表情をしていた。
目を合わせると、背筋が凍りそうになるような錯覚に襲われるほど…
「まぁ、話なら聞いて上げますよ」
両手を離し、後ろに下がる仁
彼に捻られた両手は、とても痛かった。
「私は…
バハムートが許せないの…
大切な家族を殺した、あの龍が」
ふと仁を見ると、無表情ではなく
柔らかな笑みを浮かべながら耳を傾けて居てくれた。
それに少し安堵を覚えたアカネは淡々と話し出す。
忌々しい、あの日を
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