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地べたにペタンと座った後、アカネは離し始めた。
「あれは…
今から1年前
私が17の時、いつも通り過ごして居たときに
それは起こった…────────────────────────────────────────────────
スワジ国港町モリサンにて
そこに、金髪の女性は海を見ながら立っていた。
愛しい家族を迎えにきたから
しばらくすると、一隻の漁船が彼女の元に近付いてくる。
看板からは、赤髪の青年がこちらに手を振っていた。
「お兄ちゃーーん!!!」
金髪の女性、アカネも手を振り返す
兄と呼ばれた青年は、ニッコリと笑った
「ただいま、アカネ」
「おかえり、お兄ちゃん」
港に船を停泊させる兄、アカシ。
その目に苦悩が映っていたのを、妹は見逃さない。
「お兄ちゃん?
元気ないけど?」
「あ、いや、な。
なんか最近海がおかしい。
魚が、なんだか逃げるように居なくなったんだ。
魚だけじゃなくて、鳥も、イルカも…
そのせいで不漁なんだ」
「そっか…
元気出しなよ」
「アカネのパンツ見れば元気でるぞ?」
「…えっち」
「おやや~?
顔が赤いぞ~?
どーしたのかなぁ~ん」
「うるさいわよっ!」
「あ、お兄ちゃん死ぬ」
そんな他愛ない話をしながら、数の少ない取ってきた魚を持ち運び、帰路に着く二人。
仲のよい兄妹だと、みんな思うだろう。
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