第二章~ 死神は若葉と共に ~

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天原さくらは、赤丘区の文房具屋の中にいた。 女子の買い物と言えば、友達とワイワイ、ウキウキした、暖かい空気を思い浮かべるのが普通の考えーー だがしかし、天原からは一人で静かに、つまらなそうな、そんな冷たい空気が漂っていた。 (あり得ないのよ。黒沼君が、女子に誘われるなんて) 心でそんなことを思ったせいか、天原は無意識にボールペンを一本手にとった。 そして、手にとったボールペンを、無意識に下書き用の紙にサラサラと走らせた。 『むしゃくしゃする』 無意識のせいか、天原は、自分の心に思ったことを、紙に向かって堂々と表に晒していたーー 刹那、カランという音とが店内に響いたかと思うと、その後間を開けず、バン!と勢いよくドアを開ける音がした。
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