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「随分と上機嫌ね、黒沼君」
不意に後ろから冷めた声をかけられ、黒沼の肩がビクッ!と震えた。
黒沼が振り向くと、そこには、天原が立っていた。
それもとてつもなく不機嫌そうな表情で。
夜の来襲である。
「聞いてくれよ天原、俺は今度の天川祭で、いい場所に屋台が取れたんだ」
「……よかったわね」
「……わかった。俺が悪かったです、すいませんでしたっ!」
さすがの黒沼も、天原が体中から放つ冷たいオーラを察知し、即座に謝った。
しかし、それを見た天原は許すどころか、黒沼を殴ろうともしている。
逆効果というものだ。
理由もわからず謝っただけの行動は、今の天原にとっては火に油を注ぐようなものである。
「待てって天原!何怒ってるか知らないけどちゃんと謝っただろ!?」
♪~♪~
間一髪のところで、天原の携帯が鳴った。
天原はさらに不機嫌そうに電話に出た。
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