第二章~ 死神は若葉と共に ~

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死神教会 黒染山という、標高も低い山の頂上に位置する、死神達のアジトである。 入口には『死神教会㈱』と大きく書いてある、響きや見た目だけなら、何とも不気味な建物だ。 そんな死神教会にも夏の訪れを感じさせるかのように、周りの木々に若葉が生えていた。 そしてもう一つ、夏と共に死神教会に訪れたものがいた。 「ふぅ~、やっと着いたか」 緑地秘翠。 がっしりとした体格の背の高い男。 おまけに、緑色の紙をスポーツ刈にした、いかにも体育会系の男だ。 「何か月ぶりっすかね、この町で仕事するのは」 感慨深げにそういうと、緑地は死神教会へと足を進める。 辺りでは、若葉達が風でザワザワと揺れている。 その音は、まるで言葉を話しているようにも聞こえた。 まるでーー まるで緑地秘翠に『おかえり』と言っているように聞こえた。
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