12人が本棚に入れています
本棚に追加
黒沼隼人と天原さくらは、電車の中に居た。
赤丘区から、黒染山の麓にある黒染駅に行くためである。
この時間帯の電車には、帰宅中の学生や、年配の老人等しか乗っていない。
当然のことながら、若く元気もよく、青春を満喫している学生は、年配で足腰の不自由な老人に席を譲る形になる。
そのためか、違う学校の生徒同士が、同じ場所に固まるということも、少なくはない。
しかし、黒沼と天原の周りには、一人として人が集まらない。
理由は言うまでもないだろう。
「あの~、天原さん何でそんなに不機嫌なんですか?」
「……」
天原の放つ、ツンと冷たい空気だ。
(気まずい、やっぱ俺何かしたのか?)
最初のコメントを投稿しよう!