第二章~ 死神は若葉と共に ~

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黒沼隼人と天原さくらは、電車の中に居た。 赤丘区から、黒染山の麓にある黒染駅に行くためである。 この時間帯の電車には、帰宅中の学生や、年配の老人等しか乗っていない。 当然のことながら、若く元気もよく、青春を満喫している学生は、年配で足腰の不自由な老人に席を譲る形になる。 そのためか、違う学校の生徒同士が、同じ場所に固まるということも、少なくはない。 しかし、黒沼と天原の周りには、一人として人が集まらない。 理由は言うまでもないだろう。 「あの~、天原さん何でそんなに不機嫌なんですか?」 「……」 天原の放つ、ツンと冷たい空気だ。 (気まずい、やっぱ俺何かしたのか?)
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