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「はぁー…」
晴れ渡るある日、学校の屋上で枯野はため息をついた。
「お前の気持ちは、痛いほどわかるぜ」
その隣では、樫宮が妙に真剣な表情を浮かべている。
「このままだと、俺達はまた、天川渡りニャ参加できないことになるニャー」
そう呟く樫宮の隣では、黒沼が嬉しそうにしている。
「何だぁ黒っち、やけに嬉しそうじゃないかニャー?」
「当たり前だろ樫宮、天川渡りは、男女がペアでなければならない。つまり、このイベントには、好坂と出なくてすむ!」
「なるほどぉ、考えたニャ~黒っち~」
「勝手な推測してんじゃねえ!つか、樫宮も納得してんじゃねえ!」
黒沼の言葉を聞いた二人は、陸に上げられた金魚のように、口をパクパクさせているように見えた。
だが、それは黒沼の言葉に対してではなくその後ろの人物に対してだった。
「勝手なことなぁ……」
ドスの効いた声に黒沼は恐る恐る振り向いた。
「俺としては、ショートホームに参加しないお前も、勝手だと思うがな」
そこには全校生徒から豪傑と恐れられる男が居た。
「覚悟はいいな?」
「い、いぎゃぁーーー」
黒沼達3人の悲鳴が、チャイムの如く学校に鳴り響いた。
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