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ボーマンダがゆっくりと降下してくる。
最初はぼんやりとだった人影も、徐々に見えるようになってきた。
まず目につくのは、人影が身につけているマント。
表は黒で、裏は赤。穏やかに吹く風によって、それは腰の辺りまで上がっている。
服装は、『漆黒』の一言で片付けられる。
何かの戦闘用なのか、見るからに軽装なその色は、『黒』と言うにはあまりに易しい。
漆黒…………その表現が一番適切だろう。
肩まで伸ばした黒髪に、黒い瞳。
その顔立ちから、男である事も把握できた。
「手荒い挨拶だね」
ボーマンダが地上から三メートル位までで停止した事を確認すると、チェレンが口を開く。
「君はいちいち相手の目の前に光線を撃ち込まないと挨拶出来ないのかい?」
「…………」
男は、答えない。
「だんまり決め込んだって良いことないぜ、おっさん」
「…………」
なおも、答えない。
「………何か、用なの?」
ホワイトの問いを聞くと、男の口が開いた。
「イッシュの英雄………貴方の力、頂きます」
直後、轟音が響いた。
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