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同時刻、カノコタウン
「なに……今の音は!?」
書類やら機材やらが置かれた室内で、カラクサタウンの方向を振り向く白衣を来た若い女性。
彼女の名はアララギ。
イッシュ地方で研究を続ける女性研究者だ。
「お父さん!!」
「言わんでも分かってる。私にも聴こえたからな。」
そう言うのは、少し白髪が目立つ男性。アララギと同じ服装だが、どちらが似合っているかと言えば間違いなく彼に軍配だ。
「あっちはカラクサタウン…………確かホワイト達が!!」
「落ち着け。
ホワイト君達の実力はお前も良く知ってるだろう?
心配など無用だ」
冷静な父の言葉に、アララギも多少落ち着きを取り戻す。
しかし、それでも心配せずにはいられない。
なぜか、胸騒ぎがするから。
室内に鳴り響く電子音。それに気づくと、アララギは壁に掛けられた電話に目を向ける。
(電話…………?)
こんな日に一体誰が?
娘の思考には気づかずに、男性はすぐに受話器を手に取った。
「はい、こちらアララギ研究所」
『突然すみません。私ヨスガ警察の者ですが…………』
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