穏やかな日々

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眠気を吹き飛ばそうと頭をブンブンと横に振る。それにより、腰あたりまで伸びた黒髪が大気に撫でられる。 「…………。」 暫く窓の外を見つめていたが、やがてなにかを思い出したのか、眠気が一気に吹き飛んだ。 「いけない!!完全に遅刻だわ!!!」 「おっそいなぁ、ホワイト……。」 カノコタウンのとある公園。その噴水の近くに立っている少年は、腕につけた時計を見ながら呟いた。 青いジャケットに黒のジーパン。ところどころに縫ったような痕がある事から、かなり長い間使われていた事が分かる。 被っていた帽子のつばを摘まみ、目線を少し下げる。 「もうすぐ約束の時間だってのに…………。」 「……ブラック。 彼女が時間通りに待ち合わせ場所に来た事なんてあったかい?」 そう言うのは、ブラックと呼ばれた少年の隣でベンチに座っている眼鏡の少年。 ブラックと同じ色のジャケットを着ているが、ブラックとはまた違う雰囲気を出している。 「…………チェレン。一応俺は年上なんだが」 「年上だからといって、敬語を使わなければならないという訳じゃない。 さらに言うと、君には敬語を使う必要がない。」
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