20人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
眠気を吹き飛ばそうと頭をブンブンと横に振る。それにより、腰あたりまで伸びた黒髪が大気に撫でられる。
「…………。」
暫く窓の外を見つめていたが、やがてなにかを思い出したのか、眠気が一気に吹き飛んだ。
「いけない!!完全に遅刻だわ!!!」
「おっそいなぁ、ホワイト……。」
カノコタウンのとある公園。その噴水の近くに立っている少年は、腕につけた時計を見ながら呟いた。
青いジャケットに黒のジーパン。ところどころに縫ったような痕がある事から、かなり長い間使われていた事が分かる。
被っていた帽子のつばを摘まみ、目線を少し下げる。
「もうすぐ約束の時間だってのに…………。」
「……ブラック。
彼女が時間通りに待ち合わせ場所に来た事なんてあったかい?」
そう言うのは、ブラックと呼ばれた少年の隣でベンチに座っている眼鏡の少年。
ブラックと同じ色のジャケットを着ているが、ブラックとはまた違う雰囲気を出している。
「…………チェレン。一応俺は年上なんだが」
「年上だからといって、敬語を使わなければならないという訳じゃない。
さらに言うと、君には敬語を使う必要がない。」
最初のコメントを投稿しよう!