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そう思っていると、郁が話し掛けてきた。
「さっき空を馬鹿にしてきた嫌味な奴いるだろ?」
「ん?あぁ、あのマルス…とか言う奴だったか?」
「そう。あいつの家って確か魔法界じゃ有名な貴族の家柄なんだよ。性格はともかく魔法の腕は確かなんだろ。だから人を見下す、馬鹿だなホント」
そう…なのか。
これから魔法を習う度に馬鹿にされ続けるのだろうか…。
「あ、おいっ空見ろ。今から自己紹介するあの娘」
郁がそう言ったので前を見ると、背はあまり高くはなさそうだが、腰の下辺りまで伸びる綺麗な赤髪が周りの目を引く、整った顔は美しくもどこかあどけない、そんな美少女と称するに相違ない女の子が教壇を上がっているところだった。
おれは思わず
「綺麗だな…」
と呟いてしまった。
「だな。けどああいう娘って大概性格がきつかったりしてな」
言ったのは郁だ。
おれは一言、そうかもな、と返して彼女の自己紹介を聞く態勢になった。
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