昼と夜

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だから俺はいつも先には進めない 先に進むことを体全身が拒んでいる いつも「行くな」と手を捕まれる 俺はもちろんそれに頷く なぜなら進んだ先の未来は見えているから―― わかっているから進めない 怖いのだ 変わる日常が―― いつしか止まったままのその状態が自分にとって一番都合が良いことに気付いた それが逃げだと言われても仕方ない 事実だから―― 止まったままだと見る風景は変わらない 変わらないことが良いことなのかもしれない 俺には刺激は必要ない そんなことは求めない それでいい、それ以上望むべきじゃないと俺の中の悪魔が囁いた 今日の弁当は腹が減っていたのもあり、いつも以上に美味しく感じた 小さな声でごちそうさまを言い、ちらりと時計を見た まだ昼休みは十五分くらい残っていた 弁当箱を片付けながら、今日の夜のことを考えることにした
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