昼と夜

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「おはようございます」 「あぁ。おはよう」 今日の天気は晴れ 眩しい光が差し込んでくる 思わず瞬きをしてしまいそうになる 今日もまた、挨拶を交わすところからいつもとは何も変わらない一日がスタートする 別にそれに対して思うことは特にない 朝が来て昼が来て夜が来る 生きている人間にとってごくごく当たり前のことである しかしそんな当たり前のことが実は一番幸せなことなのかもしれない まぁそんなことを思う人間はほとんどいないかもしれないが… ほとんどの人間が変わらない日常に刺激を求めているだろうと思う 俺はきっと稀なやつだ 本当にそうか? いや少し前までは違ったか… 今日の朝見たニュースが頭を過ぎる コンビニに強盗が入ったらしい 今人気の美人アナウンサーがテレビを通して可愛い声で伝えていた 俺は別にニュースには興味がない なぜなら自分のいる世界とは掛け離れたところで起こっているだろうことだからである そんなことをいちいち気にしていたらやってはいられない 俺が唯一興味があるのは… 興味があるのは恥ずかしながら世間の浮かれた馬鹿な男共と一緒 テレビ上で微笑みを浮かべているアナウンサーだった このアナウンサーを朝から見れば今日も一日頑張れる気がするのだ その理由はもちろんアナウンサーが美人だからというのもある 美人を毎朝見れるのを嫌がる男はいないだろう じゃあなぜ? そう、それは恋人の妹だから――
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